剪紙
剪紙は伝統芸術であり、中国で最も広く行われている民間芸術の一つである。剪紙はまた「刻纸」「窗花」「剪花」とも呼ばれ、南北朝時代から始まり、明清時代に全盛期
を迎えた。題材は祝い事、五穀の豊作、民間伝説、児童や動物などに関するものが多い。流派から見れば、広東佛山の剪紙、武漢の民間剪紙と福建の民間剪紙を代表する南
方派、江蘇揚州の剪紙と浙江の民間剪紙を代表する江浙派、山西の剪紙、陝西の民間剪紙と山東の民間剪紙を代表する北方派、以上の三大流派に分かれる。その中では
陝西の剪紙は昔の紋様を伝承し、そして陝北の剪紙は陝西省で特筆に値する。
陝北の剪紙は北方地方の特徴――豪放、雄壮、簡潔と素朴を持っている。剪紙は女性によって作られた文化で、昔の陝北では、嫁を探す基準の一つであった。陝北の 剪紙は単色を主として、簡潔で質朴な造型であり、誇張な変形を重視し、内容は動物や草花を主とする。陝北の靖辺・安辺・定辺の「三辺剪紙」は精巧緻密で、精緻な描写が 真に迫り、髪の毛のような細かさを持っている。考証によると、「三辺」はもとは辺境の要衝であり、朝廷から派遣された南方の将校によって保守された。将校の家族は故郷の民間 文化と現地の素朴で古風な民間芸術を結びつけ、独特な三辺の剪紙を形成した。時間が経つにつれ、現在では切り紙の内容は濃厚な中原文化の特徴を持つだけでなく、例えば 劇曲の人物を主とした内容に花鳥や動物に文化記号を象徴した琴・棋・書・画や八宝を加え、形式では一層豊かで多様になっている。例えば単色、色彩をつけ、綴り合せ、紙で 作るなど多種の形式を重ねて使用する。
1985年に靖辺の剪紙は西安美術家画廊で展示され、1986年に北京の中国美術館で展示され、文化部に「中国の剪紙の故郷」と命名された。
咸陽旬邑県の「剪紙娘」と称される庫淑蘭さんは1996年にユネスコによって「傑出した中国民間芸術家」の称号を与えられた。彼女の代表品はフランス、アメリカ、ドイツや 東南アジアなどの国家に収集されている。2006年、安塞の剪紙は我が国の第一陣の国家級の非物質文化遺産名簿に登録された。2007年4月、「中国の第一切師」と呼ばれる 高鳳蓮さんはユネスコによって「民間工芸美術家」の称号を与えられた。
剪紙芸術の発展を推進するため、延安、安塞、延川などは毎年剪紙教室を開設し、剪紙コンテストを行っている。
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