秧 歌

 「秧歌」(ヤンコ踊り)は中国の代表的な集団舞踊の形式のひとつである。「秧歌」は「秧歌舞」「扭秧歌」とも言う。苗植えの農作業から生まれ、発展の過程中で絶えず 農歌、菱歌(民歌形式の一種類)、民間武術、曲芸と戯曲の技芸・形式を吸収し、「秧歌」を歌う形式から民間舞踊になり、清朝時代までに「秧歌」はすでに全国各地に広く 流布していた。たとえば、「鼓子秧歌」(山東)、「陝北秧歌」、「地秧歌」(河北、北京、遼寧)、「満族秧歌」、「高跷秧歌」、「東北秧歌」など。

陜北秧歌

 陜北秧歌は陜北高原に伝わる、大衆性と代表性をもつ伝統な踊りであり、「閙紅火」「閙秧歌」「閙社火」「閙陽歌」とも称する。祝日を祝うたびに、人々がヤンコ 踊りで新年のあいさつをして、お互いに祝福し、共に遊び、大衆に喜ばれる伝統芸術である。

 上演の形式からみると、陜北秧歌は当地伝播していた「水船」「跑驢」「高跷」「獅子」「踢場子」などの芸術要素を吸収し、主な特徴は「撚る」ことであり、楽器 の伴奏つきで、腰を中心点として踊る。腕の振りにつれて頭と上半身を大幅に撚り、足は「十字歩」で前、後、左、右に歩き、従って「扭秧歌」とも言う。「大秧歌」と「踢場子」 の二つの種類に分類される。「大秧歌」は広場で行う集団舞踊活動であり、規模が大きく、雰囲気が活発で、動きが力強く豪邁で、陽気で奔放、「獅子」「竜灯」「竹馬」 「旱船」「跑驢」などの「社火」活動も行う。小場演目には「水船」「跑驢」「高跷」「霸王鞭」などがある。「踢場子」は男女の恋愛生活を表現する二人踊りである。男 の方は「掛鼓子」、女の方は「包頭」と言う。李増恒が演じた「包頭」が美しくて賢く、歓迎された。

 1940年代初、陝西・甘粛・寧夏辺区で新秧歌運動を行われ、「兄妹開荒」「夫妻識字」「十二把鎌刀」など新しい内容を含む秧歌劇が創造された。そのうち、 「翻身秧歌」「勝利腰鼓」などの新しい秧歌が全国に普及した。歴史文化の価値を有する新しい秧歌には大場秧歌「辺区好地方」、扇秧歌「南泥湾」などがあり、陝北の 国民大衆の質樸、温厚、楽観、闊達な性格を表現している。

 2006年、陜北秧歌は第一回国家無形文化遺産リストに登録された。